海嘯の灯 8

 ライアンが根城に戻ると、既に夕方に近かった。その日が大方つつがなく終わりそうだとダルフォの部下が連絡をつけに現われ、ライアンは長椅子に沈みながら頷く。こうして一日はゆっくりと、何の味も色彩も見せずに過ぎていき、やがてあの悪夢の時間がやってくる。何もない海と何もない空とどこにもない陸地と、傷つけるためだけに存在する海鳥達が嘲る夢へ行く時間が。
 ライアンは首を振る。浅い眠りに翻弄されて一時も休まらないのは、自分の神経が憶病なせいか。こうして自分を責めても良いわけがないと知っていても、自分を罰してしまいたい心も本当のことだ。リァンを殺してしまった。それは既に己の仕業に等しい。そうして結果長らえてしまった命に、しがみついている気がする。
 目の前を何かがよぎって、咄嗟にライアンは跳ね起きる。ダルフォが微かな溜息に似た笑いを漏らした。
「驚かせてしまいましたか」
 言われてそれが部下の掌だったことに気付き、ライアンは息をついた。
「大丈夫だ」
 つくづくぼんやりがひどいのだとライアンは思う。こうして配下に気遣わせて、何もできないでいるのがもどかしかった。
「チアロは」
 短く問うと、ダルフォは指先で天井を示した。それでやっとライアンは昼間捕まえたあの少年の事を思い出した。チアロはきっとそこへ行っているのだろう。
 ダルフォを残して階をあがる。案の定チアロは少年を監禁した部屋で何をするでもなく、ぶらぶらと時間を潰していた。見張っているつもりなのだ。飯に行くかと声をかけると嬉しそうな顔で頷くから、飽き飽きしていたに違いなかった。少年のほうは眠っているのか、目を閉じて一言も発しようとしない。様子を尋ねるとチアロは渋い顔をした。
「あれから全然口、きかないんだ。うるさくないからいいけどさ」
 拗ねたような口ぶりに、ライアンはわずかに笑う。チアロの子供さ加減はいつでも却って彼を落ち着かせて余裕ある気分にさせる。楽天的で享楽的、明るい気性はリァンに似ていた。だからこの子供を気に入っているかもしれないのだと、ライアンは薄々気付きかけている。
 チアロに母はおらず父は無頼者だった。時折父の話が彼の口から出るが、酷い話ではなかったから悪い父親ではなかったのだろう。その父に死なれて行き場をなくし、食い詰めて餓死しかけたチアロが窃ろうとしたのがライアンの財布だった。
 捕らえられて居直り、次いで仲間にしてくれと懇願し、金が要るのだと知ると何でもする、今の生活より何だってましに決まってるとすがった。リァンは含み笑いでライアンを見て、俺はいらないが、と言った。それでチアロを拾っていくことをライアンは決めたのだ。運動神経が良かったのは幸いとも言うべきだった。リァンが彼を仕込んだように、ライアンはチアロを手元で育てた。
 からりと明るい笑顔の下から覗くライアンヘの感謝と思慕の念は、きっと自分がリァンに見せていた無防備な表情に似ているだろう。いつかきっとチアロも自分のように、ライアンの為に死ぬことを思うだろう。まだ十才を越したばかりなのだから、それはもう少し先のことでも良いのだが。
 だが、今は自分の身を守る盾としての能力は限り無く低い。一緒にいるところを襲われたら足手まといになる。それでも食事に誘うのは殆どがチアロだ。このあっけらかんとした気性は沈みがちな自分を僅かに救い上げてくれるような気がした。
 自分がリァンの幻をチアロに求めているのは分かっている。それを分かることよりも、やめられないことの方が業が深いのだ。
 広通へ出ると、人の波がいつものように泳いでいる。その中をくぐり抜けて適当に食堂に入る。馴染みを作らないのは用心のためだ。手引きされればどうしようもなくなる。
 食事の間中チアロは口を動かしていた。食べていないときは喋り、喋っていないときは食べている。よくもそんなに話すことがあるものだとライアンは妙な感心の仕方をする。自分はきっとありのままを受け止めすぎるのかもしれないのだと思った。
 帰る道でくだらないことを喋り続けていたチアロの口がふと止まって、ライアンは振り返る。どうした、と水を向けると、チアロは視線を巡らした。その視線を追ってライアンは瞳を滑らせ。目を細めた。
 一目で分かった。よく似ている。
「ライアン、あれ……」
 囁くチアロの声が感歎に響いている。ライアンは頷く。黒い髪は同じように編み上げている。年は取っているが、若かった頃は美しかったろう。夢のような美貌の残滓が残っている。
 それから僅かにライアンは声を立てた。あの女だ、と思い出した。──もう四年も前の邂逅をライアンは忘れていなかった自分に驚いている。
 リァンに会う少し前、老人のところから逃げ出したとき、一度は戻った以前の家に住んでいた女。ライアンにどなた、とそっと聞いたあの女──そしてあんなにもあの少年に似ている。年からして姉ではありえないだろう。それに、あの必死さは。
「母親かな、あれ」
 チアロの言うのにライアンは頷く。おそらくは間違いないだろうと思った。ライアンは眉をしかめる。嫌なものを見た、と思った。これでまたぞろ迷い出す心を軟弱だと叱る。自分の身代りを手放すことは、カレルに生け費を自ら提供することと同じことで、それはライアンにとって体に染みついた恐怖の爪形そのものだ。
 いけない、とライアンは首を振る。行くぞ、と素っ気なく声をかけてチアロを引きずるように、トリュウムヘ戻った。
 自分と交代でダルフォを外へ出し、自室へ階段を上がった。チアロは一階の子供と言っていい年の連中が集まる部屋へ潜り込んでいく。年が近いと気安いのだろう。チアロはあまり年上だの目上だのに対する敬意に頓着するほうではないのだが。
 ライアンは一番奥の部屋へ向かい、そしてその手前で立ち止まって逡巡の後、一つ手前の扉をそっと開けた。
 既に日が沈んで久しい。明かりがなければ何も見えないほど暗い部屋の照明のスイッチをひねる。急に溢れた眩しい光に、一瞬目を閉じる。
 少年は部屋の中央に転がされたままぴくりとも動こうとはしなかった。眠っているのだろうかとライアンは思い、窓際へ立つ。カーテンを閉めなければ夜気は冷たい水のように窓から滑り込んできて、部屋を凍えさせる。劇団にいた頃に種々なところへ行ったから、この国が北よりに位置していることは知っていた。風邪をひかれても医者にみせる訳には行かない相手だ。
「俺をどこへやるつもりだ」
 不意に声がしてライアンは振り返る。眠っているのかと思っていた相手の目が開いて、激しくライアンを見つめていた。綺麗な目だ、とライアンは唐突に思う。屈伏することを知らない、傲巌で美しい強さだ。
「起きていたのか」
 ライアンは呟くように言った。まるで気配に気付かなかった。猫のようだと思った。少年が同じことをくり返した。どうするつもりだ、とは聞かなかった。覚悟がいいのか、とライアンはこの瞳の光にそぐわないと思いながらも口を開いた。
「殊勝なことだ。殺すわけじゃない」
 全てを説明してやる理由はない。これで十分といえた。
「どっかの変態にくれてやるつもりだな」
 吐き捨てる言葉にライアンは少年を見返す。今までの会話、会話と呼べる数少ないものを記憶から掘り起こしてライアンは困惑する。勘がいいのかと思うが、何かやり過ごせないものが引っかかって胸内がざわつくのがわかった。
「……それがどうかしたか」
 否定はしてやらない。嘘をつかないということではなく、ただ、この少年の心証などどうでもいいからだ。嘘を教えてもそうしなくても、この少年の運命は自分が握っているのだから。
「俺を家へ帰してくれ」
 少年の口から出た言葉に、ライアンは失笑した。甘い、と唇を歪めていら立ちのような笑みを押し殺す。甘いのは育ちが良いからだろうか。自分が頼めば誰でも言うことを聞くとでも思っているのならば相当箱入りと言えた。
 だが、この少年の履いている靴は、安い木綿張りの靴だ。制服はこの国でも良いところの学校のもので支給されるが、靴は自前なのだろう。それに、とライアンは記憶を呼び戻す。母親の着ていたものも大して良いものではなかった。
「帰すと思うか」
 聞き返すと、少年は寂しげに笑った。
「さあね……でも、あんたが頭なんだろう? 他の奴らとは全然違うから。なら、あんたに頼むのが、やっぱり一番いいんだ」
 ライアンは緩やかに首を振りながら椅子を引き寄せ、少年の正面に腰かけた。話をしたかった。少年がライアンを瞳だけで見上げて頼む、と口を動かした。
「……さっきの答えを教えてやる」
 ライアンはそれを無視して低く言った。
「お前はこのタリアを束ねているカレルという男へやる」
 少年はふん、と鼻を鳴らした。
「そいつが変態じじいってわけか」
 強い嫌悪というよりは小馬鹿にした口調に、ライアンは苦く笑う。男女を問わず彼は人を引き付けてきたろう。その顔は確かに人をおかしくさせるほどの美しさを備えている。
 その中にはこの少年が変態と呼んだ少年趣味や、彼を女と思っているのなら幼女趣味の連中もいたに違いない。他人の嗜好をどうこう言うつもりはないが、この少年はそうした求愛に慣れているのだろうとライアンは察した。
「なぜ、そう思う」
 促すと奇妙に引き歪んだ表情のまま少年が言った。
「俺を顔が取り柄の小綺麗な子供だと思ってるんだろう。この顔を見た奴はまず大抵そう思うに決まってる」
 ぬけぬけと言いたいことを、とライアンは小さく笑った。自分の美しさというものに一点の曇りもない自負を抱いている。
「仕方ないだろうな、それ自体は」
 ライアンは答えた。顔は仕方ない。これが諸々の災厄を呼び込んだとしても、そう生まれついたのは仕方がない。そう思わなければやりきれない。例えば、カレルに見込まれたときの自分だって、望んだわけではなかった。仕方ないと言い聞かせなければやり過ごせなかったあの災厄を、自分のせいだと思いたくない。
 そうして逃げることはこれからもあるだろう。その度にカレルの残した悪夢の跡に、ライアンは脅えてすくむに違いなかった。
「──好きでこの顔に生まれたわけじゃない。生まれるときに選べるんならもっと男くさいのがよかった」
 ふてぶてしい言いぐさにライアンは少し笑った。同じことを思ったことがないわけではなかった。
「……なあ、俺を家へ帰してくれ」
 懇願するでも、脅すわけでもない、ただ静謐な声で少年が言った。ライアンは少年を見た。そこに溢れているのは真実対等にものを頼んでいる心だった。ライアンは思わず目をそらした。対峙することができなかった。
「それは俺の得になるのか」
 早口で言ったのは、おそらくは狼狽(うろた)えているからだろう。強引にでも自らを律していないとひきずられて行きそうだった。
「ならない」
 少年の答えは簡潔だった。だろうなとライアンは頷く。そんなことは考えるまでもないことだった。
「ならないから頼んでる。ただ、俺を貢いでその野郎の機嫌を取るならよした方がいい。服従は癖になるぜ、あんたにも、あんたの子分にも」
 痛いことを言われてライアンは一瞬反論を忘れた。乾いた唇をほんの少し舐めて少年を見る。
 肯定も否定もしないことで回答を誤魔化しながら、ライアンはこの少年の頭の回転が良いことをようやく分かった。自分が黙りこくっている理由を少年は敏感に察したらしい。溜息をついた。
「何故分かるのか、とかそんなこと無いとか、語るに落ちる奴が多いんだけどな。あんた、少しはまともな頭がついてンだ」
 世の中の自分以外の奴は全て馬鹿に見えるのだろうか、とライアンは察し、そしてこの少年の頭の良さと、それに釣り合わない精神的な幼さの差に低く笑った。まだ駆け引きを知らない。
「思いついたことをべらべら喋るうちはお前も子供だな」
 からかうように言ってやると、少年は一瞬茫然とした顔をし、そして僅かに頬を紅潮させた。
「俺が今の言葉に食いついてきたら、適当に取引して自由にしてもらおうとでも思っていたな」
 ライアンが言うと、少年の顔に僅かに悔しそうな色が混じった。
「そんなに家に帰りたいか」
 訳の無い苛立ちに煽られながら、ライアンは言った。少年がぽつりと帰りたい、ともらした。
「母さんが心配してる。早く帰ってやらなきや」
 母親、とライアンは奥歯をきつく噛み合せる。めまいのようなものが上がってきて、ひどく残酷な気分になった。
「心配していないかもしれない」
 怒りのようなものでぶれる言葉を、ライアンは修正もしない。憎しみというなら、確かに人を殺せるほどの憎悪だと思った。
「そんなことはない」
 少年が即答した。
「母さんは心配してる。きっと俺を捜してるんだ」
 ライアンは不機嫌に目を伏せた。それは事実その通りだった。あの真剣な目は、子を案じる母親の典型的な姿だった。
 臆面もなく、そう信じて言い切る母子の強い絆に鞭打たれてライアンは唇を結ぶ。他人の情愛は十分に強く彼の胸を打ちすえ、皮膚を破り、血を流させる。その度に首をもたげる憤りの炎は暗い色をしていた。
 自分たちが見送ってきたものを、欲しいのかどうかも分からないまま引き離されたものを、易々と手に入れて当然と思っているこの無知と無神経さはどういうことだろう。それともこれが普通だとでもいうのか。
「俺の母は金が欲しくて俺を売った」
 低く呟き落とすと少年が黙った。ライアンは目を閉じる。
 雪にまみれるように小さくなった背中、その背がひどくやけばちに急ぎ足で遠くなっていった、あの日の暗い空の色。思い出すのはそればかりだ。自分は母を呼んだろうか。おそらくは呼ばなかったろう。自分の置かれた状況がよく分からずにただぽつねんと立っていただけの自分はひどく幼く、無感動だった。
 彼の前から歩み去った物は二度と帰らず、やがて追憶は疎ましい記憶になって根づき、今に至る。
「あんた、可哀相だな」
 少年の声が言った。ライアンは我に返って少年を見、その言葉を吟味して首をかしげた。
 可哀相というのは何のことだろう。親はいなくて普通の仲間たちの中にいると、それが大したことでないと素直に思えてくる。親がなくても生きて行ける。帰る巣は自分で捜し出すものだ。運良く無力な時代をくぐり抜けた仲間たちはそれを当然と受け止めて誰一人、それに不満を言うでもない。
 いや、それが不満の種だと思ってもいないというのが正しいだろうか。ライアンが腑に落ちないものを弄んでいると、少年の瞳が不意に伏せられて、緩い溜息が聞こえた。
「俺の言うことが分からないのか。その方がよほど可哀相だ」
「……俺は別に不幸ではない」
 だが、では、幸福というものが何かと尋ねられたら首を傾げるだろう。そして、幸福かという問いにも。
 幸福というものがどういうものか見当がつかない。幸福と不幸という物差しの境目はどの辺りなのか。そんなことを考えたこともなかった。
 困惑してライアンは少年を見る。当然だと受け取っていた事実を丸ごと否定されたような気分で戸惑う心に、少年の視線は針のように刺さってきてとても痛かった。
 ぷつ、と指先に鋭い感覚が走ってライアンは左手を見る。細刃刀で中指の腹が切れて、血の玉が見る見る盛り上がった。いつか彼が芝居のときに飾り立てていた血の色の珊瑚玉よりも赤く、鮮やかに深い色だ。無駄に生きている体を支えてる、流れの象徴。
 リァンの形見を無意識にいじりたおしていた結果の血玉はささやかなリァンの報いの気がした。指を唇にあてて吸うと、軽い金属に似た臭いと、強い塩気の味がした。──血と肉によって、自分は生かされている。
 それは望まなくとも母の胎内から来たもの。生まれることで母から分けられた体だ。自分の血が赤いように、母の血がきっと赤いように、この少年の血もまた赤く、ぬるく、流れているだろう。
 暗く深い、帝都の地下を流れる運河よりも静かな水音が滴った音が、耳奥でした。
「母親は確かにお前を捜していた」
 ライアンは指先を噛んでから言った。わずかに濡れた指先に、新たな血が広がって薄く見えた。
「母さんには俺だけだ」
 少年が溜息のように力なく言った。ライアンは少年を見た。再び指先に唇をよせると。薄まってはいるが血の味はやはり明瞭に舌に広がって鼻腔へ抜けていく。
「俺しかいないんだ」
 だから帰してくれ、と少年の声が消えそうに細くなりながら言った。ライアンは伏せていた目を上げ、まっすぐに少年を見た。少年はやはり比類なく美しく、同時に強靭な誇り高さを持っていたが、母親を思う瞳だけがほころびのように弱さを覗かせていた。
 ライアンは大きく深く息をついて立ち上がった。──自分は今、最高に馬鹿なことをしようとしている。
 首から掛けた細刃で少年の手を縛っていた布を断ち切り、次いで足のそれを切った。のろのろと少年が体を起こした。
「……ありがとう」
 言った声は真実幼く、大人のような口をきいていても子供なのだとライアンは思った。だから多分、これが正しい。戻る巣がある子供であるならば。
 手に柔らかいものが触れた。ライアンは視線をやる。少年が今まで自分を戒めていた綿布を切った指先に巻こうとしていた。いい、と手を振る。こんなものはかすり傷でもないくらいだ。
「早くいけ」
 素っ気ない声で促すと、少年はうなずき、そして破顔した。大輪の花が艶やかに開いたようだった。冷たい横顔も十分美しかったが、それ以上に笑顔には麻薬のような麗しさがある。
「恩に着るよ。俺は、クイン・エディアル」
「ライアンだ」
 名前など、どうでもよかった。ただ獲物をつい取り逃がす、それだけのはずだ。名乗りあっても再会しなければ意味がない。
 少年はもう一度礼を言うと扉を開いて出ていこうとした。その背を呼び止め、下まで送るとライアンは言った。そのまま階下へ降りていけばまた騒ぎになる。事実仲間は訝しげに少年を見ていたが、隣にライアンがいるから何も言わない。このトリュウムという城の中では確かにライアンは王なのだった。
 通りへ出ると、ライアンは自分の細刃を一つ取り出し、髪を束ねている布を通して少年に渡した。不思議そうに刃を揺らして光の軌跡を楽しんでいる少年に僅かに苦笑しながら言い渡す。
「また同じようなことがあったらそれを見せて俺の名を言え」
 他の集団の所の者でも、ライアンと直接構えたいと思い上がるものはいないはずだ。へええ、と少年の瞳が面白そうに細まった。
 もう行け、とライアンは言って返事を待たずに背を返した。風にのって少年が何か後ろで言っているのが聞こえたが、何を言っているのかまでは既に分からなかった。だが、それもどうでもいいことだ。もう会うこともないだろうから。
 巣へ戻るライアンは、既に少年の名も忘れ去ろうとしていた。

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