第3章 かもめたちはうたう 4

 酒場女の歌声は朗々と、小汚くて薄暗いホールに響き渡る。
 安酒を更に水で薄めて飲む客達が、女の歌に口笛で加勢する。竪琴の音は陰鬱で、それを弾く指の持ち主のように暗い表情だ。
 きらきらひかる、硝子玉の髪飾り。
 安直な煌めきが安酒場での余興に相応しく、床に淡い影を落とす。
 女の歌は、まだ続いている。




   愛を囁く海鳥たちの 歌は掠かすれた しゃがれ声
   嗄かれた喉から啼きあげて 今宵も死ぬほど 呼んでいる 
   お前の元にも届いている? 悲鳴のような、海鳥の歌
   抱いていてよ
   お前の持てる両腕の その長さに余らぬように