第3章 かもめたちはうたう 6

 空間転移から抜けて現実へ出る瞬間は、いつも極彩色の悪夢を見る。胸が悪い。それまで水中にいたような身の重さがふっと消えて空間へまろび出るような感覚と、僅かな座標の誤差のために、クインは転移から降りるときは大抵転倒した。勿論そのために、転移から抜けてくる場所は彼の部屋の寝台の上になっている。いつものようにそこにどさりと勢いで転がり、クインは吐息を漏らした。
 魔導で空間を渡る時の酩酊感はいつまで経っても慣れそうにない。身に馴染んだ悪寒を喉で宥め、クインはのろのろと寝台に座り直した。
 襟元に柔らかく結んだスカーフを引き抜いて首を楽にすると、自然と溜息が零れた。
 母さん。
 呟きは既に少年としての落ち着きに戻っていたが、一度覚えた動揺はなかなか静まってくれそうになかった。母が言いかけた罪という言葉が、払っても払っても重く蘇ってくる。
 ――罪の話を聞いて貰わなくてはいけないわ。私は聖女ではないのよ。
 クインは頬を歪める。彼にとって母親の聖性は絶対で、世界で最も美しいものであった。そこが汚されることへの怖れは根深く彼の中に居着いている。 
 母が15になったらと期限を切った夜から、自分は一度も真実を尋ねなかった。髪の青が少しでも覗く日は、閉じこめてでも外へ出さなかったような頑とした人であった。はっきりと口に出したことを、撤回する人でもない。
 それに流転の最中の母の怯えように、不用意に聞いてはいけないことなのだとクインはいつしか悟っていった。母を悲しませ恐れさせるものこそが幼い流転の日々に知っている一番の敵であったのに、自分が同じ事をしようなどとどうして思えただろう。
 それでも10才の秋に彼の分裂した運命に出会った瞬間、逃亡の理由の方はするするとほどけていったのに、肝心の動機は却って絡まってしまった糸のようであった。
 尋ねなかったことが今更正解だったと安堵するのは自分が逃げているせいだろうか。母が言う罪とやらが真実許されざるものならば、そんなことは知りたくないのだと思っているのは否認という罪だろうか。
 そして何よりも、母の元から帰ってくる度に募る、渇仰のような思慕をどうしたら。
 母親の腕の温かみを知っていた時代から急に放り出されてしまったからなのか、クインはそれに巧く対応できない。ふと気づけば人肌の恋しさ故になのか、気に入った客には最初の頃より甘い態度をとっている。
 それを認めざるを得ない夜は、ひどく打ちのめされた、惨めな気持ちになった。
 クインは記憶から吹き上がってきた沢山の痛みをこらえるために唇を噛んだ。
 誰か。
  胸の奥からかすかに聞こえてくる声を、クインはいつも遠くに聞いている。ミシュアの海から駆け上がってくる潮騒と似た、心ざらめく悲鳴のようなその声を。
 誰か、誰か──お願いだから……──
 その後の言葉が何であるか、クインはいつも聞かない。そんなものに耳を貸してはいけないのだということだけがわかっていれば十分だった。
 母の不調は仕方がない。それを救うためにはこれしかなかったと納得はしている。けれど心の中にある痛みまではどんなに慰撫しても頑として折れなかった。そのために皇子を憎むのは間違っているなら、あとは自分を厭うしかなかった。
 クインは寝台に座り込んだまま、片手で顔を覆い、そしてもう片方の手を自分を抱くように回した。
 誰か。耳の奥から何かが囁いている。
 母の腕に巻き取られて幸福だと思っていた日々が遠い。あの頃のように誰かと何の見返りも打算もなく、ただ愛のためだけに手を取り合うことは自分にはもうやってこない気がしてたまらない。
 そんなことを考えただけで、震えがくる。母を失いたくない。彼女をどうしても自分の元から無くしたくない。
 マリア=エディアルと名乗っている彼女の正体も罪とやらの内容も、どうでもいい。彼女だけが自分を真実愛している、この世でたった一人なのだ。
 クインは顔を覆っていた手を外し、今度は両腕でしっかりと自分を抱いた。外は夏のぬるい黄昏で、寒さを覚えているわけではない。けれど、そうでもしていなければ自分がいつまでも震え続けなくてはいけないようで、居たたまれなかった。
 長い溜息が、床に落ちていく。
 客はその欲求に従ってクインの内面には無頓着、それがましな言い方であるならば無神経だった。そう振る舞う権利も他の娼婦たちなどと比較にならない金額に含まれているというなら間違いではあるまい。
 それにいちいちつきあう義理もないと反発を覚えたのも最初だけだ。
 物として扱われることにクインは慣れた。極上の人形のように仮想の天使や悪魔のように客たちは彼を愛でたが、それはすべて彼の表面を滑り落ちていくもので一晩たてば忘れるもの、朝の水浴と共に流れて消えていくものとなった。
 それでよかった。彼らの勝手な幻想や妄執に関わるよりも、自分は物であるのだと暗示して天井の模様を数えている方がよほどましだった。
 けれど、そうして頑として無機質を装った心をしどけなく解放する場所が、ついに見つからない。以前は母が彼の負荷を柔らかに吸い取ってくれていた。幼い頃に涙を唇でついばんでくれたような暖かさがいつでもクインの還る場所だった。
 それはもう身近にはいない。抱きしめようとすると離れてしまうようになった。
 その寂しさを、その度に胸を突かれるような痛みを、感じないようになるにはどうしたらいいのだろう……
 誰か。胸の奥から何かがこみ上げるように聞こえてくる。
 いつかおまえを愛してくれる人を、おまえが愛する人を見つけなさいと母は言った。それはおそらく正しいのだろう。自分には誰もいないのだと思うときはこんな時だ。
 それを当初クインはライアンに求めようとした。ずっと昔彼が彼でいられる場所を作ってくれた男、クインの望みを叶えてくれた男。
 ライアンにこだわるのは彼がクインの状況や事情を考慮することが出来る男であったこと、昔からクインを一段下として見ずにほぼ対等に相手をしてくれた男であったことが大きいだろう。
 特に4年前帝都にいた頃はクインはやや年上に見えたとはいえ10歳の子供で、ライアンは18か9だったはずだ。ライアンの正確な年齢は本人も知らない。
 この場合、8の年齢差は大きいはずであった。ライアンは既に少年期の終わりにおり、自分はそこへ踏み出す時期であったのだから。だがライアンは彼を子供扱いにはしなかった。クインが語る継承戦争を勝ち抜くための方策に価値があると認めてからは尚更クインの話をよく聞いてくれた。
(俺の力が借りたいときは必ず俺を呼べ)
 帝都から逃げ出す日にライアンはそう言った。それは彼の信頼と感謝の印だった。
 ライアンの多くはない言葉の中に籠もる真摯を嗅ぎとって信じたからこそ、クインはライアンを頼って帝都へ戻ったのだ。
 だが数度の関係を持った後はライアンはクインを以前ほどは寄せ付けなくなった。ライアンがタリア王の側近でありタリアの自警や派閥抗争に既に深く関与している以上、時間がとれないのはあるいは不可抗力であろう。
 が、ライアンから訪ねてくるときも淡々と最近の様子を訪ねるくらいで、クインの訴えようとする言葉にはほとんど頓着しない。
 適当にあしらわれ続け、クインはライアンのことを考えようとすると反射的に苦い怒りがこみ上げてくるのが最近になりつつある。
 チアロはライアンが十分に自分に目を向けていると言うが、どこが一体そうなのか自分にわからないなら全く無意味だ。
 ライアンか、と呟いてクインは自分を抱いたまま舌打ちした。彼が何を思っているのかわからないのは昔からだが、それがこんな根の深い苛立ちに変わることを、クインは自分で持て余している。
 苛立つ波は次第に強くなっている。心の中に荒れる海を見る日には、何をしていても神経が尖って落ち着かない。自分でも幼いと承知しつつ、だがどうしようもなく焦がれている。待っている──誰か、を。
 そしてそれはライアンではないのだろう。苛立ちを収め寂しさを埋めるためだけに彼に縋り付こうとしたとき、ライアンは彼に言った。
(俺はお前の保護者でも愛人でもない。俺を特別にしようとするな、お前はただ勘違いをしているだけだ)
 その時なんと答えたかは忘れてしまった。ライアンが自分を突き放したことだけが絶対の現実だった。
 現実はクインにはいつも辛く苦く、そして痛い。勘違いという言葉で示されたライアンのはっきりした拒絶を、クインは思い返す度に激しい怒りに襲われる。
 ライアンは俺に関わる気がないのだ。4年前と同じく、仲間とは決して認めず頑として一枚壁を隔てた距離をとる。時間さえも惜しいのか、滅多に姿も見せない。
 それが自分の抱える秘密のためであるのか、それとも自分の中にある何かの要因のせいなのか、クインはわからない。どちらであっても現実が動く訳ではなさそうだった。
 4年前に彼の側にいた頃は、ライアンは素っ気はなかったがクインのことをよく気にかけ、救ってくれた。それは自分が子供だったからか、それとも継承戦争を勝利するために彼にいくつかの助言を与えたからなのか。
 けれど、役に立ったからというのならばその理由は今クインの身体を通り過ぎていく男たちと同じ、彼をただの小綺麗な小物のように扱うことと変わらない。ライアンからはその無機質さは感じたことはなかった。
 彼は良くも悪くも、自分の思惑に忠実にクインを遠ざけている。
 そこへ思い至りライアンの冷淡さについて考えるとき、クインは怒りと苛立ちを濃厚に眷属として持つ寂しさを感じずにはいられない。チアロはクインにとって大切な友人であり気安く心を許せる希有な相手だったが、ライアンは友人ではない。かといって確かにライアンが言うように愛人でも保護者でもなく、まして主人でもなかった。
 彼は一体自分の中の何であろう。こうして彼のことをつらつらに考えていると、彼にまるで恋するようだとクインはふと思い、苦く唇だけで笑った。それは恋ではなかった。愛というものも違う。
 けれど、彼の視線が向かないと知れば身を切られるほどに欲し、得られないと知れば焦がれるほどに切なく、悲しい。それをどうにかして彼に理解させたいはずなのに、気づけば彼に嫌味をいい、八つ当たりをし、不機嫌に鼻を鳴らすことしか出来ていないのだった。
 ──でも、ライアン。
 クインは長い溜息をつき、身体をゆっくり寝台に横たえて目を閉じた。転移の時の眩暈も悪寒もまだ身体の底辺に残っているようで、ひどく応えた。
 でも、俺は、淋しいんだ。生活の不満や仕事の鬱憤などではなく、友人の不在などでもなく、ただ、──淋しい。
 母の腕の中にいてぬくやかに守られていた時代から突然身ぐるみを剥がされて世間に転がされたせいなのか、暖かであったという記憶のままに、還りたい場所を探している。
 自分が求め求められる場所へ。誰かと見つめ合いながら微笑みあいながら、幸福をしっかりと感じ取れる心の棲家へ。還るための道を、共に歩く相手を、探している。
 一人では、あまりに淋しくて。
 淋しい、と呟けばそれが真実のような気もした。それを和らげる役割を彼に求めるのは間違っているのだろうか。ライアンは暗にそう示しているが、クインはライアンの意志には気付かないふりをし続けている……
 閉じた瞼の裏が滲むようにじんと熱い。クインは枕にあ顔を押しつけ、声を殺してわずかに泣いた。食いしばった歯の隙間から漏れる吐息が、震えている。
 淋しい、淋しい、母さん、俺から離れていかないで。
 俺を一人にしないで、置いていかないで。
 脳裏を巡り回る言葉だけが、世界のすべてのようにのしかかってくる。誰もいない部屋で一人で泣くときでさえ、大声にならない逼迫が、今のクインの全てだった。
 ……そうして寝台にうつぶせてしばらく体を震わせていた彼の耳に、扉が軋む音がした。誰かが入ってきたらしかった。クインは素早く身を起こし、目元をこすった。涙はほとんど止まっていたが、痕跡を他人に見せるのは何があっても承諾できなかった。
 この家に出入りしているのはライアンとチアロの二人だけではない。チアロ一人では結局手が回らないこともあると結論したライアンが彼の側近から一人、オルヴィという女を時折寄越す。ライアンは夕方近いこの時間は大抵タリア王屋敷だから、チアロかその女かのどちらかであろう。オルヴィはライアンの性質に近い、暗く陰気な女だ。
 だからという訳ではないが、クインは彼女を苦手としている。ライアンに輪をかけて口数が少ないのもそうだろう。彼女に泣き顔を見せるものかという奇妙な意地でクインは尚更平静を装うように呼吸を整えた。
 簡単に扉をたたく音がして、寝室の扉が開く。よう、という軽い挨拶が耳にした瞬間にチアロであることを悟り、クインはやや息を戻した。
「転移してきたばっかりだろ、顔色悪いぜ」
 そんなことを言いながら気安い表情で近寄ってきたチアロは、だが彼の手前で足を止めた。いつも明るく翳り無い表情に、一瞬さっと怪訝な線がよぎる。
 クインははっとして顔に手をやろうとするが、その華奢な手首をチアロが素早くつかんだ。
「……泣いてたのか? どうした、お前の母さんに何かあったのか」
 彼の声音はなだらかに暖かい。その温もりに溶かされたように、一度止まったはずの涙がふとこぼれた。
 瞬きに頬を転がり落ちていく水滴の数をぼんやり数えていると、チアロが彼の隣にすとんと座り、肩に腕を回して彼を引き寄せた。
 チアロの大きくて骨ばった手が子供をなだめるように頭を撫でている。彼の仕草にクインは消え入りそうな嗚咽をこぼして友人の肩に顔を押しつけた。
 チアロは彼に先に聞いた以上のことは何も聞こうとしなかった。クインの気が済むまでこうして彼を捕まえているつもりなのだ。チアロが自分を追いつめないことは、クインにとっては安息であった。
 チアロはよく知っているのだ。クインの気分の上下が激しいときはクインにとってひどく心痛い何かがあったときで、この頃は療養所から帰ってくる度にこんな風に滅入って気怠く鬱に沈むことも。
 何も追求せず何も要求しない彼の優しさが真実胸に染みた。
 ──淋しい。
 それでも身の内で吠え回っている声はどれほど貪欲なのだろう。わずかな仕草や時間で癒されることに激しい抵抗を叫んでいる。淋しい淋しいと訴える声に半ば押し切られるように、クインは顔を上げてチアロの首に腕を絡めた。
 ──淋しい。
 自分の中で何かが決壊したように、それだけが流れてくる。声が背を押すような感覚にとらわれて、クインはそっと唇を彼に近寄せていった。
 吐息が交わされるほど近くになる。チアロの肌の温度までが唇で感じるような錯覚を覚えた瞬間、それがすっと離れた。クインは視線を友人に与えた。何故か彼の方が泣き出しそうな顔をしていた。
「……クイン」
 チアロは彼の名を呼び、肩をつかんでゆっくり揺すった。
「俺とお前は友達だ。俺は、友達と、こんなことはしない……分かるか?」
 クインはゆっくり頷いた。チアロの声はひたすらに静かで、穏やかだった。クインはもう一度頷き、分かる、と呟いた。
「ごめん、もうしない……」
 付け加えるとチアロは眉根をよせるようにして切なく笑い、彼の肩を軽くたたいた。
「俺とお前は友達だ、いいな。何があっても俺はお前を見捨てない、約束する」
 クインは頷いた。チアロの言葉も眼差しも、疑うことなど出来なかった。それを切り捨ててしまえば、今持っている数少ないものをさらに失うことになる。
 その恐怖を一瞬ぞっと背中に覚え、クインは俯いた。衝動が過ぎ去った後は、増して荒涼とした気分になる。
 黙ってじっとあらぬ方向の床を見つめていると、チアロの苦笑のような吐息が聞こえた。
「……なあ、気休めみたいなことでしかないけど、お前、女の客でも取ってみるか?」
 クインは怪訝な面もちで友人を見つめた。今まで寝てきた客は夫婦が二組あっただけであとは全て男であったのだ。
 女の客、という耳慣れない事象にぽかんとしていると、チアロは数は多くないんだけどね、と付け加えた。
「でもいないことはないんだよ、春先から5人くらいは聞かれてる。ほら、夫婦にお前を入れたことがあったろう。あのときの奥さんあたりから漏れたんだろうな。……気分くらいなら変わるかもしれないぜ、男相手と違って女だったら主導権も取れるだろうから」
「うん……そう、だな。そうする。そうだ、それもいいかもしれない……」
 男たちが自分に加える身勝手で気ままな愛情に似たものを、別の形で他に吐き出す行為であることを薄く承知しながらも、クインはその話に深く頷いた。
 あるいは、飛びついたと言ってもよい。母が抱えている暗部を思えば恐ろしく、自分の中にとぐろを巻く怒りは悲しい。この二つに翻弄されるだけでこの先の時間を埋められていくのかと思うと、胸が潰されそうになる。
 頼む、とクインは低く呟いた。どんなものにでも、縋り付けば楽になると思っている自分自身を厭いながら。
 ──やがて日は落ちて、クインは身支度を整えて地下水路からタリアへでた。
 涙の痕跡も荒れた心の海も全てが彼の堅い殻の中へ仕舞われて、この世で一番美しく圧倒的で、そして生身でないものになる時間がくる。
 いつもの貸し部屋の主人は彼を見て曖昧に笑いかけ、そして一抱えもある深紅の薔薇の花束を押しつけた。一体何かと目で問うと、あんたの前の客が届けてくれってさ、と主人は言い、今日の客への牽制だろうと苦笑する。
 独占欲の証左である薔薇の花を抱えてクインは最上階の部屋へと階段をのぼる。鼻腔からむせるような甘くきつい香りが身体に吸い込まれていくようだ。
 部屋が決まっているのは事前にチアロかオルヴィかが隠した写真機などがないかどうかを確かめやすいからだが、おかげでとうに天井の模様は数え終わってしまっている。
 次からは何をしようかと考えながら、クインはいつものように部屋の扉を3度叩いた。
 少しの間をおいて扉が開く。中に足早に入り込む彼の肩をつかみ、男は花屋は呼んでいないと言った。
 クインは振り返り、抱えた花束をずらしてちらりと男を見やった。この男は今日初めて見る顔だ。それがみるみる上気していくのに微かに笑い、そして今度はまっすぐに男へ視線をやって婉然というように唇をゆるめた。
「でも……今夜の花は買ったでしょう?」
 そんなことを戯れに口にしたとき、男の強い力が自分を抱きすくめた。腕から花束が転がり落ちる。ふわりと舞い立った強い香りに喘いだクインの視界の端に、男が踏みにじった薔薇の花弁がとまった。
 今夜はあれを数えようかとクインは思いつき、先を急ぐ男の身体に腕を回した。




   抱いていてよ
   お前の持てる両腕の その長さが余らぬように