冬の翼

冬の翼

「そらみろ」
 リュードが言った。エルシアンが顔を上げれば彼は穏やかな、そして哀しそうな顔で笑っているのだった。
 リュードは気付いている。自分に何かが起こって内側が移り変わりつつあることを。 それが何かを聞かないのは、せめての彼の気遣いなのかもしれなかった。
 負担に掛けない、掛けさせない、そんな軽やかさを今自分は永久に失うのだと思うと涙が零れそうになる。エルシアンは慌てて上を向いた。変わらぬ蒼穹が目に痛かった。

 後宮の庭の別れのシーン。リュードにとってエルシアンは唯一、心許せる友でした。エルシアンの親友はケイなのでものすごい一方通行感があるのは大人は黙ってスルーです。
イラスト: シサム 様 pixiv