遣らずの雨

遣らずの雨9

 クロウは剣を横へ置き、片膝をついて頭を垂れた。太い声がクロウ=カイエン、と彼の名を呼んだ。一段と低く伏したク […]


遣らずの雨8

 見開いた目は語っていた。何故。  だが一番辛かったのはそれが素直な疑問でも裏切りへの強烈な憎悪さえなかったこ […]


遣らずの雨7

 お前と一緒で良かったよ、と彼は言った。それには答えなかった。その時は既に決意を固めていたからだった。どうした […]


遣らずの雨6

 じりじりと人数は減っていった。一日が過ぎるのが異常に遅く感じられた。邪悪な罠に掛かったように時折敵は現れては […]


遣らずの雨5

 降り続いた雨がふと止んだ。曇天は相変わらず低く立ちこめて雨の気配は遠くないが、それでも安堵した空気が流れたの […]


遣らずの雨4

  そこに立っていたのは20代の半ばだろう、黒髪の青年だった。不意に開いた双瞳の金がめら立つ炎に似て目に痛い。 […]


遣らずの雨3

 異変に気づいたのは長年の勘のようなものだった。生き物の気配がする。それも特に濃厚な。クロウは集めた食料を衣嚢 […]


遣らずの雨2

 隣でグラッシアが両手をこすり合わせている。吐く息が白い。気温は少しも上がる気配さえ見せない。やはり雨のせいだ […]


遣らずの雨1

 雨が降っている。か細い銀の線が音もなく静かに天井と地上をつないでいる。低くたちこめた雨の正罪、煙り霞む視界と […]