第3章 かもめたちはうたう

第3章 かもめたちはうたう 17

 どこかから、安い歌が聞こえる。流行歌に乗せた薄っぺらい愛を唇の端で嘲笑しながらクインは赤い迷路の中を歩いてい […]


第3章 かもめたちはうたう 16

 まばらな拍手が酒場に起こる。伴奏の竪琴がひときわ大きく込み入った和音を奏で、それはやがて一段高くずれた主旋律 […]


第3章 かもめたちはうたう 15

 この日の最初の客は泊まらなかった。まだ部屋にあがるのを差し止める時刻ではなかったから、リィザは身体と部屋の痕 […]


第3章 かもめたちはうたう 14

 夕方近くなってくると技楼には次第に活気のようなものが満ちてくる。タリアの火入れの時間はまだ少し先だが、それに […]


第3章 かもめたちはうたう 13

 酒場の中はいよいよ暗い。注文の酒がグラスごと目の前に置かれると、中の液体が僅かな灯りに揺らいで琥珀色の淡影を […]


第3章 かもめたちはうたう 12

 彼がシャラの元を訪れたのはそれから4日ほどしてからだった。日付も曜日もまるで定まっていないが、月に2度か3度 […]


第3章 かもめたちはうたう 11

 ちかちかと天窓から陽光が射している。その眩しさでシャラは目を覚ました。遊女の部屋は客の使う表廊下と、下働きが […]


第3章 かもめたちはうたう 10

 ゆるくたゆたう竪琴の、音色は淡く消えていく。儚さは世の宿命で、生まれれば消える運命のまま、歌は今宵も消費され […]


第3章 かもめたちはうたう 9

 タリア王屋敷にはいつものように王側近の数名がてんでに好きな部屋にたむろしている。彼らにはそれぞれ手持ちの領域 […]


第3章 かもめたちはうたう 8

 むせかえるような血臭の中にライアンは立っている。彼の足下に転がる、ほんのさっきまで人間だったものは既に動かな […]