第1章 祝祭の日

第1章 祝祭の日 15

 水滴が跳ねた音が、狭い浴室に響いた。浴槽の中で膝を抱えていたクインは物憂く顔を上げ、完全には閉まっていなかっ […]


第1章 祝祭の日 14

 帝都の夜空に花火が咲いている。  6月は祭事が多い。北寄りの国々では待ちかねた、短い夏を楽しみ昇華するために […]


第1章 祝祭の日 13

 長い時間をやりすごし、クインはようやく顔を上げた。ライアンは目を逸らさずに彼をじっと見ていた。その視線を正面 […]


第1章 祝祭の日 12

 太陽が中天を回ったと時計が示す頃から明らかに呼吸と鼓動が落ち着かない。頻繁に時刻を確かめながら、クインは昨晩 […]


第1章 祝祭の日 11

 食事が済んでチアロと別れると、ライアンはタリアの大通りの方へ足を向けた。境界門から続く妓楼の赤い格子が日暮れ […]


第1章 祝祭の日 10

 タリア王屋敷の門をくぐるとまず目に入るのは美しく整えられた前庭と馬車寄せだ。タリア王というのは通称で、タリア […]


第1話 祝祭の日 9

 試着室の野暮く分厚い布がさっとひかれ中から颯爽という空気と共に少女が出現すると、狭くはない店内に溜息が漏れた […]


第1話 祝祭の日 8

 皇子がフォークを置くと、その眼前で口直しのための氷菓を口にしていた皇妃は微かに眉をひそめた。口に運びかけてい […]


第1話 祝祭の日 7

 奇妙な沈黙が暫く続いた後、自分の唇から最初に漏れてきたのが失笑だったことに、ライアンは一瞬置いてから気付いた […]


第1話 祝祭の日 6

 いつでも自分たちは二人きりだった。父が欲しいと言ってみたこともあるし、そんなことをあれこれ空想していたことも […]